アフリカとひと口に言っても、広大な大陸ゆえに実に様々な食文化がありますが、大きく東西南北で分けて地域ごとの特徴を語られることが多いようです。北部アフリカは地中海に面していることもあり、豊富な食材に恵まれている地域ですが、有名な料理のひとつに「ブリック」があります。主にチュニジアで食されている、薄いパイ生地で具材を包み上げた料理です。生卵をツナやジャガイモで作ったポテトサラダで包むようにして揚げてあるため、生地のサクサク感と半熟になった卵のトロッとした食感が特徴的です。南部アフリカに暮らしていた先住民の食文化は素朴なものでしたが、16世紀にヨーロッパからの入植がはじまって以降、それらの国々とともにアジアの食文化も融合し、多彩な料理があるのがこの地域の特徴です。よく食べられている料理は「ブラーイ」と呼ばれるバーベキューで、「ブルボス」という名の1mもある長いソーセージなどを焼いて食べます。一方、エチオピアやケニアのある東部アフリカは、アラブやインドに近いこともあり、それらの影響を受けた料理が多くあります。エチオピアでは、古くから食べられてきた「インジェラ」というクレープ状の生地をちぎって、「ワット」という名の煮込みを包んで食べる料理がよく知られています。このワットは、現地の言葉で「惣菜」という意味で、材料や味付けにはいくらかのバリエーションがありますが、日本人から見れば、ナンをカレーにつけて食べるインド料理に似ていると感じてしまう料理です。西部アフリカを代表する料理には、「ジョロフライス」があります。その名の通り、米を使って作られるピラフに似た料理です。セネガルからガーナといったギニア湾北岸諸国で食べられており、アメリカのルイジアナ州発祥の炊き込みご飯「ジャンバラヤ」のルーツとも言われています。