3月からの季節を春とする現代の暦では、その最初の行事は3月3日の[桃の節句]になります。[節句]とは、古代中国から日本に伝わった季節の節目に行う儀式のことで、それが江戸時代になって、五節句として公式に定められた行事となりました。1月7日」の[七草の節句]についで2番目となる桃の節句は、正式には[上巳(じょうし)の節句]と言います。この日を雛祭りとして雛人形を飾るのは、自分の災厄を人形(ひとがた)にして海や川に流す風習が、女の子の人形遊びと結びつき、[流し雛]という習慣となったことが由来だといわれています。桃の節句の代表的な食べ物といえば、ハマグリがあります。ハマグリの貝殻は、対となるもの同士しか合わないため、女の子が相性の良い人と結ばれ、一生仲良く添い遂げられるようにとの願いを込めて、潮汁にしていただきます。またこの日は、ちらし寿司を作って食べる家庭も多いと思いますが、欠かせない具材としては[長生き]を表すエビ、[見通し]が良くなるレンコン、[健康でまめに働く]ことにつながるマメなどがあり、色々な願いが込められているというわけです。次に5月5日の[端午の節句]。[菖蒲の節句]との呼ばれており、男の子のお祭りであることはご存じの通りですが、こちらの食べ物は男の子の成長に関連するものが中心です。まずは[出世する]ようにと願いが込められたブリ。昔から出世魚とされています。さらに[勝つ男]にかけたカツオは、勝負ごとに勝つようにとの願いから。そして、その成長する姿同様に[素直にまっすぐ伸びる]ようにとの願いを込めてタケノコも食されます。この日は風呂に菖蒲の葉を入れて[菖蒲湯]にする習慣がありますが、アロマテラピー的な効果とともに、暑い夏を健康に乗り切ることができると信じられてきたからだそうです。